2026年 社会科の初志をつらぬく会 京都集会 (個を育てる教師の集い) 関西研究集会のご案内

2026年 社会科の初志をつらぬく会 京都集会 (個を育てる教師の集い) 関西研究集会

1. 研究テーマ

個の力を育てる問題解決学習~実感を伴う学びを通して~

近年,不登校の子どもが増えています。子どもたちは,学校では個性を発揮することができず,言いたいことも言えず,閉塞感が漂っています。その一方でフリースクールや通信制の高校に通う子どもは増えてきています。集団で学ぶ学校教育の意義が,今問われていると言えるでしょう。

学校では個性を伸ばすという視点が忘れがちになります。周りに合わせることが求められ,目立つことはよくないとされる風潮の中で,子どもたちはいつしか自分の意見を言わなくなります。学校現場では依然として知識の定着を重視した一斉授業が中心となり,子どもたちが社会と直接関わる経験を通して学ぶ機会は限られています。こうした中で,私たちは経験主義の問題解決学習の視点を再評価し,実感を伴う学びの場をつくり出す必要があると考えます。

一方で,中教審では「個別最適な学び」が求められ,「探究的な学び」が重視されています。

現代社会は,環境問題,少子高齢化,地域の過疎化,国際紛争など,複雑で多様な課題に直面しています。こうした社会の中で生きる子どもたちには,単に知識の習得だけでなく,子どもたちが自らの課題を見つけ,考え,他者と協働しながら解決していく「探究的な学び」が必要だからです。「探究的な学び」は,本来は問題解決学習で求めてきたことでもあります。したがって,問題解決学習の実践は現在求められている教育の方向と逆行することではなく,むしろ追い風になっていると言えるでしょう。上田薫先生は,「問題解決学習は,社会の危機自覚を根底とする教育方法であった。」「問題解決学習はどの時代においても重用されて当然なのだが,価値の動揺が顕著であればあるほど,切実にその必要に迫られるというのも事実である。」と述べられています。

こうした学びを実現するうえで,経験主義の問題解決学習の意義を改めて見直す必要があります。問題解決学習により,単なる知識の暗記では得られない「実感」や「納得感」を伴い,子どもたちの内面の深いところから追求する力が生まれます。また,実感を通して得た問いや気づきは,探究の出発点となり,学びをより主体的で意味のあるものに変えていきます。

「答えが一つとは限らない」社会の中で,一人一人が自らの意思で選択し,決定していく力が一層必要となります。学校教育で育成するのは,周りに合わせて自らの意思をもてなくされている個ではなく,周りの意見を注意深く聞きながらも自らの意思を持ち,決定してくことのできる強くたくましい個の力です。個の力は,個人の力だけで成長するのではなく,周りとのかかわりの中で支えられ,鍛えられ,育まれていくものであり,子どもたちのかかわりあいが欠かせません。それが教室で共に学ぶ意義でもあります。

初志の会では,授業記録をもとに子どもの思いに迫っていきます。授業記録には,子どもたちの問い,つまずき,気づき,そして他者との関わりの中で生まれる思考の軌跡が刻まれています。子どもたちの思いを読み解き,共有し,次の授業づくりに生かすことで,より豊かで意味のある学習となるのです。前回の北大阪集会では,子どもの問いに対する話し合いのズレが議論になりました。子どもの思いにズレがあっても,ズレを修正するのではなく、ズレこそが学びを深めるために重要だと言えるでしょう。

初志の会の掲げる「個を大切にする教育」とは,「子どもたちを一律にとらえることをやめ,一人ひとりの子どもの人間を深く理解し,その子がその子らしくよりよく成長できるよう,指導・支援することを大切にする教育」です。そのことにより,新しい社会を創造する力を育てていくことを大切にしています。新しい教室,新しい社会を創造する営みは,厳しく辛いことであってもそのことに向き合うことによって培われます。

学校現場では問題解決学習を実践しにくい状況があるかもしれません。しかし,「探究的な学び」そして問題解決学習は,今まさに子どもが求めている教育ではないでしょうか。

研究集会では,実感を伴った子どもの学びを通して,一人一人の個の力を育てる問題解決学習の在り方について議論を深めていきたいと思います。

【参考文献】

・上田薫(1999)『よみがえれ教師の魅力と迫力』玉川大学出版部

・社会科の初志をつらぬく会編(2008)『生き方が育つ教育へ』黎明書房

 

2. 期日 2026年1月17日(土)

3.  会場 京都文教大学

〒611-0041 京都府宇治市槇島町千足80 京都文教大学キャンパス14号館

4. 当日の流れ  

9:30~10:00 授業者・提案者・司会者打ち合わせ

10:00~10:30 受付

10:30~11:00 全体会

開会挨拶(関西研究部長)

テーマについて

授業者・提案者・司会者紹介

11:00~12:30 分科会前半

12:30~13:15 昼食

13:15~15:45 分科会後半

16:00~16:30 全体会

分科会報告

次回担当地区の挨拶(滋賀)

閉会挨拶

16:45~17:45 関西運営委員会

5. 分科会

授業提案司会者提案者
A小3社会科「生活を支える販売の仕事―地元鮮魚店の秘密に迫るー」

和歌山大学教育学部附属小学校

西川 恭矢 先生

和歌山

宮井 哲也 先生

京都

橋本 祥夫 先生

B小4総合「防災×SDGs」

守口市立さつき学園

前田 大翔 先生

北大阪

加藤 美香 先生

南大阪

水木 幸男 先生

6. 参加費

会員・誌友・一般  :1000円

学生・院生     :無料

昼食(お弁当・お茶):1000円(必要な人のみ)

7.申し込み

・関西初志の会HPより必要項目をご入力ください。

ホームページURL

https://sites.google.com/view/kansaisyoshinokai

・提案資料郵送・昼食をご希望の方は1月12日(月)までに申し込んでください。

・提案資料メール送信希望の方は1月15日(木)までに申し込んでください。

・自家用車で来られる方は,「連絡したいこと」のところに「自家用車を利用」とご記入ください。

 

詳細な案内はこちらからダウンロードください。

20251224_年度関西初志の会集会案内.pdf

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